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長年の測量野帳ユーザである樋口真嗣監督のインタビューを読んだ
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話の前提
私について
前提として、私はこの1年くらいのほぼ全ての手書き用途を測量野帳で完結させ、常に測量野帳を持ち歩いているいわゆるヤチョラーの一人です。
測量野帳とは
測量野帳は、測量士のために1959年にコクヨより発売されたハンディサイズのノートです。測量の現場でも使いやすいようにタフなハードカバーで、中身は青い方眼。ハードカバーかつサイズが小さいので、立ち姿勢でも安定して書くことが出来ます。
発売から約60年、ほとんどデザインが変わっていないことが大きな特徴です。
インタビューの大まかな内容
インタビューにたどり着いた理由
まず、前提でお話しした通り、私は測量野帳ユーザ(ヤチョラー)です。深緑色の測量野帳を普段使いし、行く先々で限定デザインの測量野帳を買い求めています。また、私の趣味は測量野帳(に限らず自分の使っている物)について Google 検索を行い、目についたページを片っ端からサーフすることです。
その日も、私は Google の検索バーに[測量野帳]と入力して1か月以内に更新された Web ページを検索してネットの海を彷徨っていました。そんな折に見つけたのが、測量野帳の製造・販売元である文具メーカのコクヨが運営している KOKUYO MAGAZINE に掲載されている樋口真嗣監督に関する記事でした。
樋口監督は、『のぼうの城』、『進撃の巨人』、『シン・ゴジラ』といった特撮映画を中心に映画界で名を馳せる映画監督です。 そんな樋口監督も長年の測量野帳ユーザかつ、メモ魔とのことで、前述の KOKUYO MAGAZINE によると、
電車の中、ロケハン、打ち合わせ中、試写中、どこに行くときにも常に測量野帳を持ち歩いて、気が付いたこと、気になったこと、思いついたこと、考えたことはすべて書きます。
とのことでした。樋口監督は、樋口監督の師匠でいらっしゃるところの矢島信男監督の言葉、
「脳みそというの は考えるためにあるものであって、覚えるために使うのはもったいない」
に感銘を受け、何でも手帳にメモするようになったとのこと。
手書きの良さ
樋口監督が考える手書きの良さというのは、文字を書いたときの感情が字に現れるところです。パソコンやスマホにテキストで打つと、全ての文字が(明示的に変更しない限りは)同じサイズ、同じフォントで表現され、言うなれば均されてしまいます。
しかし、あえて手で書くことで、情報だけでなく同時に時間の経過と共に変わっていく感情の変化を記録することが出来ます。 手書きの文字を読み返すことで、その文字を書いた時の感情も一緒に思い出すことが出来るということです。
アナログの良さ
例えば電子書籍は、10ページ目でも150ページ目でもページを捲るときの手触りが同じ。ところが紙の本を読んでいると、今は全体のどの辺りにいるのかということが指の感触から理解できます。
アイデアを発想するために
樋口監督は、アイデアを発想するためにはとにかくキョロキョロすることが大事と仰っています。気になることを見つける訓練をするということ。
ある日突然、完全なアイデアが降ってくるわけではない。日々考えて、可視化して客観視する。 それらを地道に繰り返すのが、発想力の源であるとのことです。
インタビューを読んで思うことと、測量野帳についての想い
デジタル化が進んだこの世の中、アナログの優位性は確実にある
私が本を読むとき、Kindle(Kindle Paper White、またはスマホアプリ)で読むこともあるし、もちろん紙の本で読むこともあります。
それぞれ適材適所と考えており、 Kindle は
- 何冊でも同時に持ち歩けること
- 場面を問わず読めること
- 読書メモをクラウドに残しておけること
- ワード単位での検索性が高いこと
に圧倒的な優位性があると考えています。
一方で Kindle に比べて紙の本は
- 本に直接書き込みができること
- 全体のうち自分がどの部分を読んでいるのか把握し易いこと
- 行ったり来たりが容易なこと
- 所有欲が満たされること
といったように、デジタルには真似出来ない芸当がまだまだたくさんあります。大事なのは、「これからはデジタルの時代だ」、「アナログこそが至上である」といった一辺倒な意見を持つのではなく、デジタルが得意な領域ではデジタルを、アナログが得意な領域ではアナログを使い分けて効果的に活用することであると考えます。
メモに関しては、完全に手書きがデジタルを圧倒している
前節では読書に関するアナログとデジタルを比較しましたが、ことメモをすることに関しては現状はアナログの方が適しているように感じています。
アプリでのメモだと、
- スマホを手に取る
- スマホのスリープを解除
- メモアプリを探す
- メモアプリを起動する
- 新規のメモを開く
- 文字を打つ
- 保存する
という手順が発生し、またメモアプリも千差万別(これは紙のノートもそうかも)。アプリの開発が中止されればまた別のアプリを探し求めるほかありません。
紙でメモする場合だと
- ノートを手に取る
- 空白のページを探す
- 空白のページを開く
- ペンを手に取る
- 字を書く
と、かなり単純な手順になります。
また、マルチタスクを行おうとする場合も手書きが有利です。
ノートを机に開いた状態で置いている場合を考えると、パソコンのディスプレイを1枚増やしてメモアプリを常駐させているのと同じ意味になります。つまり、いつでも参照できるし、書き込みできるし、しかもパソコンのメモリも圧迫しない。パソコンをシャットダウンしても読んだり書き込んだりできます。
本も、無理にパソコンで読もうとするのではなく、Kindle や紙の本で読めばよい。そのようにしてプロセスを分散させることで、余裕が生まれます。
パソコンやスマホ一台でやろうと思えば何でも出来てしまう時代、あえてパソコンやスマホ以外でノートを取ったり本を読むという選択を採る意味は大きいと感じています。
測量野帳は、ユビキタス・キャプチャーという考え方にマッチする
ユビキタス・キャプチャー という考え方
ユビキタス・キャプチャーとは、1日に起こる全てのことを手帳に記録するという取組のこと。 有益な情報をメモに残しておきたいと考えているということを前提にして、「手帳に書くべき情報を選別する時間がもったいないので、とにかく全て書く」という考え方だと私は解釈しています。
最近私もユビキタス・キャプチャーの真似事を始めてみましたが、とにかく書くことに対するハードルを下げることに重きを置いている考え方だと思います。
マッチすると思う理由
以下の理由から、測量野帳はユビキタス・キャプチャーと相性がよいと考えています。
どこにでも連れていくことができるタフさ
測量野帳は、とてもタフです。表紙もハードカバーだし、紙も上質です。鞄の中に雑に放り込んでおいても表紙が折れ曲がるなんてことはありません。
雑に書くことが気にならない価格帯帯
測量野帳は、メーカー希望小売価格210円(税別)です。この後にも書きますが、1冊40ページもあります。1ページ辺り5.25円です。実質無料ということです。
それなりに高い入手性が約束されている
測量野帳は、1959年にコクヨより発売され、それ以降大きなデザイン変更や仕様変更が無く販売が継続されています。また、少し大きな文具店や本屋の文具コーナーに行けばほとんどの確率で手に入れることが出来ます。なので、出先で使い切ってしまっても、気軽に買い足すことが出来ます。
入手性が高いことで、安心して同じノートを使い続けることが出来ます。(個人的に、過去のノートを並べて置いたり仕舞ったりする時に大きさや厚さが異なるのがあまり好きではありません。)
ちょうどいい塩梅のページ数
測量野帳は、40ページです。これは、足りないわけでもなく、多すぎるわけでもない、絶妙なページ数であると思います。 ページ数が少ないと、テンションが上がらないし、ページ数が多すぎても、圧倒されてしまって使うのを躊躇してしまいます。
40ページであれば、1冊のノートを使い切るという達成感をこまめに味わうことが出来ます。
測量野帳の40ページというページ数は、携帯性、機動性、使用感、どれを取っても非常に丁度よいと感じています。
測量野帳に施しているカスタム
最後に、私が私の測量野帳に施しているカスタムをご紹介して長々と書き進めてしまった記事を締めさせていただきます。 写真は後から載せます。
ペンホルダー
ボールペンを忘れてしまうことが多かったので、ペンホルダーを付けています。多分ロフトとかで買いました。 書く時にもあまり邪魔にならず、重宝しています。
定規
筆箱を別途持ち歩くのが苦手で(忘れてしまうので)、ペンが測量野帳にくっつくようになったので定規もくっつけてしまえという発想です。多分ロフトとかで買いました。
表と裏から書く
これまたコクヨの書籍、コクヨの結果を出すノート術 たった1分ですっきりまとまる! に書いてあったノート術の一つです。
表はバレットジャーナル
バレットジャーナルについてはまた別の機会に書きますが、あまりちゃんとやってないです。
裏は雑なメモ
なんでも書きます。ユビキタス・キャプチャーの真似事です。あまりちゃんとやってないです。
ガチャックによる2冊重ね
1冊目は表のバレットジャーナルと裏のメモです。 2冊目は、バレットジャーナルで言うところのストック情報を残そうとしていたのですが、あまり有効に使えていないような気がするので、普通に1冊運用にして機動性を上げようか悩んでいます。
まとめ
みんなも野帳、使おう!